みなさんこんにちは、かとうだいきクリニックです。
みなさん、健康診断を受けてますか?
お勤めの方は会社の健診を、自営の方は自身で健康診断(特定健診・すこやか健診)を受診してくださいね。
健康診断は、車で言うところの車検に相当します。
車と違ってヒトの体に罰則はないですが、メンテナンスしていないと危険ですよね!?故障(病気)は突然やってきます!!しっかり対策しましょう!
さて、本題です。
とある患者と院長のやりとりです。
患者A 「健康診断でD判定(要精査)もらったけど、自分は何も症状なくとても元気!ほんとは嫌だったけど、会社の上司や家族に行けって言われて仕方なく来ました。」
院長 「そうですか、大変ですね!今日は本当にご苦労様です。健康診断を拝見しますね。どれどれ、あららAさん糖尿病と言われていますね、しかも3年連続ですよ。」
患者A 「そうみたいだね。尿に糖が3+って書かれてるね。あと血糖値が248、それとAなんとかって言うやつが8.0%って書いてあるけど、先生これって何よ?」
院長 「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)って言うんですよ。1ヶ月の血糖値の平均をみています。血糖値も200以上あると糖尿病と言われてしまいます(空腹時だと126以上)
6.5%を超えると糖尿病になってしまいます。7%を超えると症状もないのに知らない間に、怖い合併症を起こすんですよ。」
患者A 「エーワンシーね。怖い合併症って何よ?」
院長 「し・め・じ と言いまして、
(し)んけい→足の神経の感覚が鈍くなって、ケガしても気づかず知らない間に傷が化膿して、最悪の場合には足を切断することがあります。
(め)→目の奥の網膜というところに細かくてもろい血管ができやすくなります。すぐに出血してしまうので、目の中で出血して視力がなくなってしまい、最悪失明してしまうのです。
(じ)んぞう→腎臓が悪くなります。おしっこの検査でタンパク質がダダ漏れになります。腎臓の老廃物を濾しとる網(糸球体)が糖尿病によって破壊され、腎機能が悪化して最後には自分で尿を作り出すことができなくなって透析をすることになります。」
患者A 「ひどいねー」
院長 「まだあるんです!糖尿病の5人に1人は、心筋梗塞になります!」
患者A 「!!」
院長 「他にも、脳梗塞やがんのリスクも上昇するので、症状がないからといって、それは今だけですよ。やがて糖尿病が悪化して重症化すると、口が渇きやすくなったり、知らない間に勝手に痩せていったり、体がダルくなったり、意識がなくなったりすることもあるんですよ」
患者A 「先生もうやめて!怖くなってきたよ!どうしたらいい??」
院長 「大丈夫、しっかり治療すれば合併症を起こさずに、健康で過ごすことはできますよ。まずは糖尿病の診断をしっかりしていきましょう。
大人で発症する糖尿病の多くは『2型糖尿病』といって、運動不足や食生活の乱れによって引き起こされる生活習慣病が原因なのですが、一部の人に体内のすい臓から分泌される、インスリンが不足して起こる『1型糖尿病』という病気がありますので、血液検査・尿検査で調べましょう。」
院長 「次に治療の話ですが、一番重要な治療って何だと思いますか?」
患者A 「治療といえば、薬でしょ?」
院長 「答えは『違います!』正解は、食事と運動です。言われれば、ああそうかと思いますが、実はとても奥深く、ほとんど人が誤解しています。Aさんは糖尿病の食事ってどうしたらいいと思いますか?」
患者A 「そりゃ、糖尿病だけに『糖質』を減らせばいいんでしょ?」
院長 「それこそが、大きな誤解です。
確かに、糖質も含め全てにおいて摂取しすぎは良くないというところはあたってますが。そうではないんです。
Aさんが若かりし時、例えば昭和の頃って、糖尿病患者さんの数って今と比べてとても少なかったです。その頃の食事ってどうだったか覚えてますか?」
患者A 「おかずがメザシ(焼イワシ)が多く、漬物と米ばっか食べとったよ。」
院長 「そうです、お米を食べていても、糖尿病にはならなかったんです!今はイワシは高級品ですので、食卓に並ぶのは何ですか?」
患者A 「そうだね、天丼とか、ラーメンとか、食パンにバター塗ってとか・・・」
院長 「そうです、圧倒的に昭和の頃より、『脂質』を摂り過ぎているんです!!糖尿病は脂質の摂りすぎで発症してしまうのです。逆に言えば、脂質を摂りすぎないように調節すればいいんです!」
患者A 「そうなの!?じゃあ、何を食べちゃいかんのか、教えてくれー!」
院長 「まず第1に、1日に摂取しているカロリーを、簡単で良いので計算できるようになりましょう。そして適正なカロリーになるように食べる量と内容を調節しましょう。
一般の活動なら、適正な1日摂取カロリーは、身長(m)x身長(m)x22x(25-30)、 例163cmなら1461-1753kcal、 です。
最近いろんなアプリ(例えば あすけん)でカロリー計算ができるようになったので、面倒でも慣れのために1日どれだけカロリーを摂取しているか調べましょう。」
患者A 「うわー、面倒くさそう・・」
院長 「最初は慣れです。次ですけど、第2にバランスの良い食事にしましょう。
具体的には5大栄養素、たんぱく質 (P)、脂質(F)、炭水化物(C)、ミネラル、ビタミンを、適切なバランスにまとめて摂取しましょうということです。難しいですよね。でもここがものすごく大切なんです。糖尿病を良くしたいなら、ここは乗り越えてください!
日本人のバランスはP-F-C: 15%-25%-60%が良いと言われています。
現実生活習慣が乱れている多くの人は、P-F-C: 10%以下-50%以上-50%以下になっちゃってますね。
わかりにくいと思うので、
平日にはズバリ、避けた方が良い食事は
(ただし記念日、お祝い、集会の時は別です)
①『GI値が高い』血糖値が上がりやすい食材と、②脂肪分の多い食材と、③砂糖が多く入っている食材を避けましょう!!
具体的に言うと、精製された小麦粉(食パン・うどん・ラーメン)、脂肪分の多い加工肉、皮、揚げ物全て、そしてお菓子です。
患者A 「食べるもんない・・・(お先真っ暗)」
院長 「確かに、全て魅力的な食材ですね、でも背徳的な食材はやはり治療の難敵です。
GI値とカロリーが高すぎるんです。
例えばみなさんが当たり前のように摂取している食パン1枚、言わずと知れた小麦粉ですが、なんとGI値95(100がMax)と糖質の中で一番高いため、血糖値が上がりやすく、さらに小麦粉以外にバター/マーガリン、食塩が混ざっているんです。
脂質を減らすというお題目から外れてしまっているんです。
なので、普段の食事にはGI値が低くて、脂質の少ない、かつビタミンとミネラルが多く含まれた食事を摂っていけば、糖尿病の食事療法として優れたものになります。
しかも、糖尿病ではない健康な人が実践すればダイエット食になり、みんなに有効な食事になるのです。
GI値の高い糖質と脂質の多い食材はダメと言いました。
でも人間、何でもダメと言われると、すぐに嫌になっちゃいますよね。
ちゃんと代わりに食べられるものがありますから、それを挙げますね。
※食パン → 全粒粉パン、ライ麦パン、フランスパン、ベーグル(バターなど脂分が少ない)
おすすめはお米150g(お茶碗小盛りサイズ)が良いです。お米はGI値は高いですが、しっかり糖質が補えて体の代謝が良くなります。あとみなさんわかっていると思いますが腹持ちが良いので、お腹が空きにくいです。
※うどん・ラーメンなどの麺類 → そば(GI値が少ない、ただし安いそばは小麦粉が多く含まれており要注意!8割そばの二八そば、十割蕎麦を選んでください)
※加工肉、皮、揚げ物全て → 鶏肉皮なし(ささみ・ムネ良し、モモでも可)、豚肉脂肪分カット、牛肉赤身のみ、
調理方法を揚げるから、焼く・煮る・蒸す・茹でる調理法を変える
特に揚げ物は、高カロリー甚だしく塩分も多く糖尿病治療の妨げですので、お祝いの時以外は絶対にやめてくださいね!!
何かよくわからん!のとき、迷ったら『和定食』です。
焼き魚、野菜(※ドレッシングは脂と砂糖多し!少なくかけるが基本)、ご飯小盛り150g、味噌汁、小鉢1品、フルーツ1つ、でPFCバランスも良く、ビタミン・ミネラル、カロリー良しです。フルーツは果糖が含まれており、少量なら血糖値上昇も緩やかで、カリウムにより余分な塩分も排出されます。
困ったら、和定食!参考にしてくださいね!」
患者A 「もうお腹(頭)いっぱい笑」
院長 「これが本当の意味での食事療法です。大変でしょ!?少しずつで良いので実践して慣れましょう。そうしたら次は運動について語っていいですか?」
患者A 「もう勘弁して!?」
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次回は、運動療法についてお話ししていこうと思います、
長文お付き合い、ありがとうございました。
院長は20年間、循環器内科をやっています。打倒!心筋梗塞に燃え、食事療法・運動療法の大切さを説いています。長年診ている常連患者さんはご存知かと思いますが、いろいろ指導レパートリー(ネタ)がありますので、またお伝えしていこうと思います。
しかし、長いですね、ごめんなさい。